何故自分で自分のごはんを作るのか

小さな幸せは、たくさん集まるといつの間にかセーフティネットになるのだと思う。

『小さな幸せ46こ』よしもとばなな

よしもとばななさんの小説やエッセイが、ひとり暮らしを始めてからすごく大好きになりました。

中でも数年前に発売されたエッセイ『小さな幸せ46こ』の中に出てくる文章が、ずっとそうやってその瞬間を生き延びてきたことを肯定された気がして、文庫で買って今も大事に読んでいます。

そんな私が日々噛み締めている『小さな幸せ』の中でも大きなことは、ごはんのこと。

自分が食べるごはんを自分で作れること

これが生活している中で、ものすごく大きな自信になりました。

身体を壊してメーカー退職するまでは、正直忙しすぎてコンビニや外食のお世話になりっぱなし(今でもコーヒーは毎日買いに寄ってます。たまにからあげクン)。

が、退職金が少し出るからとはいえ、いつまで続くか分からない中でコンビニや外食にお世話になっていたら死活問題です。

そこまでギリギリの状況で、初めて私は自炊を自らに叩き込むことに。

一応家庭科の授業で教わった程度のことは出来るものの(学校の授業で覚えたことは侮れません)、それ以上のことは無理。

そこでまず、普通に図書館で料理の本を借りて読むことにしました。

以前にも書いた通り、毎回食エッセイや小説に出てくるメニューには飯テロされているのですが、自分で作れるかとなるとまた別問題が発生します。

(とにかく簡単な初心者向けのやつ求む!!)

写真付きの本は当時なぜか苦手だったので、出来るだけ文章多めで…と思っていたら、文字だけのレシピ本?がありました!!

その名も『がんばれ自炊くん!』

いや私のことだろう。そうだろう。と勝手に納得した私は、とにかくその本を借りて読み込み、最初の章に出てきたパスタを作ってみたわけです。

むちゃくちゃ簡単シンプルなペペロンチーノ。

なのにどんな冷凍パスタよりも市販のソースよりも美味しく感じました。

自分で作れたので余計に美味しいフィルターはかかっているかもしれませんが、今でも一番美味しいパスタは自作ペペロンチーノです。

味をしめてずんずん進む

簡単でも美味しいものが作れる!! 自分で美味しく作って食べれる!!

この事実に感動した私は、その後も同じような本や無料レシピアプリを漁り、まずは作って食べてみる。

美味しければ儲けもの、外れたら口にあわなかっただけだと思い、調味料などで調整して食べたりしていました。

食べたことのなかった白子も酒蒸しに挑戦して、割と食べれるな、ということも発見。

そうこうしているうちに、スーパーでの買い物も楽しくなってきて、予算がこれだけでもコレとコレとコレは買えるから、アレは作れるぞ、とにやけるまで出来るようになりました。

そんな中で再就職して、体調も鑑みながら、鉄板になったのが今毎日のように作っているスープ類だったり玄米おにぎりだったりします。

自分の好きな味や食材や食べ合わせなどを発見しながらだと、面倒に思えていた料理や食事がすごく楽しいものに変わりました。

考え方ひとつの問題かもしれませんが、私は自分が壊れてから初めて思い知ったことなので。

よければ是非『がんばれ自炊くん!』、手に取ってみてください。

文字だけでも主人公 自炊くんの奮闘と成長が面白おかしく、ごはんレシピも美味しくて実用的なのに、何だかホロリとしてしまう、そんな本です。

(続編のグルメ編もオススメです!)